Tout deviennent un caractère.
映画の感想を中心に書き綴っています。ネタバレや個人的で偏った感想なども含まれているのでご注意を。
監督:スタンリー・キューブリック
出演:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、エイドリアン・コリetc
ストーリー:ドラッグや暴行など、悪の限りを尽くす近未来の不良グループのリーダー格、アレックス(マルコム・マクダウェル)は、ある晩、仲間の裏切りで警察に捕まってしまった。その服役中に、悪人を善人に変える奇妙な洗脳実験を受け、暴力を嫌悪する無抵抗な人間となって元の生活に戻される。しかし、そんな彼を待っていたのは、かつて自分が暴力の対象にしていた者たちからのすさまじい報復だった…。キューブリック作品で最もカルトな人気を誇る、ウルトラバイオレンスSF作品。
以下、ネタバレありの感想です。
この映画は、レイプシーンだったり暴力シーンが多々あるのでお勧めは出来ないです。特に影響を受けやすい方とか子どもは見ちゃダメ!
私もどちらかと言えば好きではありません。主人公のアレックスに全く感情移入出来ませんでした。でも最後まで見れたのは映像や音楽の美しさ、あとアレックスを演じるマルコム・マクダウェルの表情とかでしょうか。全部ひっくるめて、とても印象に残る作品でした。
まず、インテリアやファッション。物凄い個性的で見てるだけで楽しめます。30年以上前だなんて思えない位!レコードショップとかアレックスの部屋、コロバ・ミルク・バーの内装とか凄い。小物とかエロい物(男性のアレな置物とか飴とか)もありましたが、全体的にポップで素敵でした。ただ、アレックスのお母さんの格好にはちょっと…引いてしまった。ミニスカは年を考えて下さい…(笑)でも若い娘だったら凄い可愛いと思います。
次はナッドサット語、元はロシア語から来てるみたいですね。
とても難解で最初は意味が分かりませんが、見ている内に「あ、これはこんな意味か」と分かってきます。そして見終わった後、不思議な事につい使ってみたくなる(笑)この映画にはまっているという事なんでしょうね、この世界観の虜になったような気分になります。
ただ、アレックスには感情移入出来ないんですけどね!この映画の雰囲気とかは好きです。
あとは、音楽。私の大好きなジーン・ケリーの『雨に唄えば』やベートーベンの『交響曲第九番ニ短調』など、とても印象的です。まさかレイプ、暴行シーンで『雨に唄えば』が歌われるとは思ってもいませんでした。聴いた時はちょっと…と思いましたが、そのシーンに物凄い合ってて驚きました。ちなみにこの歌、彼が即興で歌ったそうです。大好きな歌だからこそ、このシーンに合ってる気がするのがくやしい…!
アレックスは大のベートーベン好きでよく第九を聴いていたんですが、ある実験、ルドヴィコ療法でその音楽と不快な映像を見続けた為に、大好きなこの曲でさえも聴くだけで気分が悪くなってしまいます。つまり、ただの条件反射、刷り込みです。
なので実際にアレックスは善人になってはいません。体が拒否反応を示すので犯罪を犯さないだけ。
それで元の生活に戻る事が出来たんですが、そこで待っていたのは物凄い仕打ち。
家には自分の居場所は無いし、以前リンチしたホームレスに襲われ、更には昔、自分を刑務所に送った元友人達は警察官になってアレックスをいたぶる。
可哀想だとは思いますが、結局はしっぺ返しですよね。昔自分がやっていた事をされてるんですし。
それで色々あって自殺しますが、未遂に終わってしまいます。この自殺する前のある老人の顔が物凄い印象に残ってます。ひー、顔が凄い怖すぎる…!
ラストはアレックスのイってしまった顔とセックスシーンで終了。
つまり、政府の方が、アレックスが自殺をした際に洗脳を解いて元の悪人に戻したという事です。色々と世間の人々に非難されていましたから。アレックスは大好きなベートーベンの曲を聴く事が出来るし、女性に触れる事も出来るようになった、という事です。
物凄いショックを受けた作品です。
またすぐ観たい、とは思わないけどまたいつか観たい、かな。